株式投資の銘柄分析をしたい人
「決算書のキャッシュ・フロー計算書は聞いたことがあるけど、営業キャッシュフロー・マージンってなんだ?」
株式投資の銘柄分析の際に「営業キャッシュフロー・マージン」という言葉が出てきますが、ご存じでしょうか?
キャッシュ・フロー計算書なら聞いたことがあるという方も多いと思いますが、この「営業キャッシュフロー・マージン」とは何なのでしょうか。
今回はこの点に絞って解説をしていきます。
目次
決算書の3つの指標
企業の決算書には、以下の3つの指標があり、それぞれの指標をみていくことで、企業の状態を把握することができます。
①損益計算書
②貸借対照表
③キャッシュ・フロー計算書
今回はこの中の「キャッシュ・フロー」に関わる部分の解説となります。
決算書の読み方についてもっと詳しく知りたい場合は、過去記事をご参照下さい。

営業キャッシュ・フローとは?
キャッシュ・フロー計算書の1つに営業キャッシュ・フローがあります。
営業キャッシュ・フローとは、企業がどれだけ本業で稼いだのかについて、その実際の現金の流出入を表しています。
営業キャッシュ・フローがプラスの場合、企業は本業でしっかり現金を得られていることになります。
営業キャッシュフロー・マージンとは?
それでは、本題です。
営業キャッシュフロー・マージンの計算方法をまずは記載します。
営業CF÷売上高=営業CFマージン
営業キャッシュフローを企業の「売上高」で割ったものが、営業キャッシュフロー・マージンとなるのです。
売上高のうち何%の現金を残せるかを表しているんですな!
現金を残すことができれば、成長部門へ投資をすることも可能になりますし、財務の状態も良くなります。
実際にイメージするために計算例を挙げてみます。
1万円の商品(原価5千円)について、広告費(販管費)を30万円かけて100個販売した。後日、納品先から5万円の入金があった場合
売上高 | 100万円 |
売上原価 | 50万円 |
売上総利益 | 50万円 |
販管費 | 30万円 |
営業利益 | 20万円 |
営業キャッシュフロー | 10万円 |
営業CF5万円÷売上高100万円=営業CFマージン10%となります。
ちなみに、似たような指標で売上総利益率(粗利率)と営業利益率がありますので、同じように計算をしてみます。
・売上総利益÷売上高=売上総利益率
→50万円÷100万円=50%
・営業利益÷売上高=営業利益率
→20万円÷100万円=20%
「売上総利益率」は原価に対してどれだけの付加価値をのせて販売が出来ているかを示し、「営業利益率」は会社が本業で稼ぐ力を示しています。
営業キャッシュフロー・マージンの必要性
銘柄分析において、なぜ営業キャッシュフロー・マージンを求める必要があるのでしょうか。
ごまかしがきかない事実であるため
損益計算書では、売掛金などの「将来に貰えるお金」も売上と記載されます。
しかしこの売上金は、実際には手元にありませんし、金融機関の記録にも残りません。
営業キャッシュフローは、実際の現金の流出入であり、金融機関に記録が残るため、ごまかしがききません。
バランスシートの状態を判断できる
企業はどれだけ利益があっても手元に現金がなければ倒産してしまいます。
営業キャッシュフロー・マージンが良い企業は、現金がどんどん入ってくるため、借金に苦しむこともありません。
つまり貸借対照表(バランスシート)上の「負債の部」も少なくなり、健全な財務状況になっているはずです。
同業他社と比較ができる
現金の流出入はどの企業にも共通です。
よって、営業キャッシュフロー・マージンを同業他社間で比較すれば、その企業が相対的に優位なのか、安定しているのかが分かる指標になります。
営業キャッシュフロー・マージンの目安
営業キャッシュフロー・マージンはどれくらいの数値が好ましいのでしょうか。
一般的には15%以上であることが好ましいとされますが、これも業種によりけりですので、競合他社と比較するのが良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
営業キャッシュフロー・マージンの指標を競合他社と比較し、企業の優位性や財務状況などを分析してみてはいかがでしょうか。